The Power of Silence
序文
 産まれた瞬間から人は持っているエネルギーを<時間の様式>によって<展開させる>。展開させてしまったら、呪術を扱うエネルギーはほどんど残っていない。(9)

 呪術の修業とは、エネルギーを蓄えることである。本当は学ぶことなど何もなく、ただ自分の中に力があり、それをものにできると自分に納得させることである。師はそのためにのみ必要なものである。(10)

 使うことはできるが手の届かないところにあるエネルギー・フィールドを利用するのが目的である。そうすれば別のものを見たり、言葉なしで知ることができる。それを<沈黙の知>と謂う。(11)

 ここでドン ファンはカルロスの肩胛骨を叩き、澄み切った状態で意志について説明する。(11)

 この宇宙に存在する言語に絶する一つの力、それを<意志>と呼ぶ。万物はある<環>によってこの意志に結びついている。(11)

 呪術の第一段階はこの環をきれいにする手続きである。これが非常に難しく、まず日常的意識にある弟子は偽装した形でこれを学ぶ。そして高められた意識状態ではじかに意志から知を引き出してくる。(12)

 何千年もの間呪術師はこの知識を継承してきた。その継承における案内役はナワールと呼ばれる。<見る>ものが見れば4つの光るボールを重ねたように見える。ナワールは意志とのつながりを意識させる責任がある。(12)

 高められた意識状態での教えはすぐに忘れる。したがって、肩胛骨を叩いて上のような教えを伝えられてもすぐにカルロスは忘れることになる。それを想い出すということが修業の一つの過程ともなる。(13)

 ドン ファンはカルロスに本を書くことを修業にしろ、とまで言う。体験を視覚化し、夢見のなかでそれを見る。

 ドン ファンの教えの体系は
   通常の意識状態で−−−右側のための教え
   高められた意識状態で−左側のための教え
   に区分される。

 また知を求める過程で出くわす三つの謎は
   意識の統御−知性の謎(意識、知覚の驚くべき秘密を前にしたときの謎)
   忍びよりの技(意識と知覚のせいで客観性、事実性が生じる。
          意識と知覚が変われば、客観性、事実性は崩壊する。)
   意志の統御−精霊(精神)の謎−抽象の逆説ある。(14)

 このうち、意識の統御が前提条件である。
 1 宇宙はエネルギーフィールド(光の糸のような)の無限の堆積である。
 2 エネルギーフィールドは<イーグルの放射物>とも呼ばれる。
 3 人間もイーグルの放射物が集積し、タマゴのように見える。
 4 タマゴの一部にひときわ輝く一点がある。
 5 ひときわ輝く一点をわずかな一部のエネルギーが取り囲み、
   タマゴの外側のエネルギーフィールドを照らすとき、知覚が生じる。
   この一点を<知覚の組み立てられる点><集合点>と呼ぶ。
 6 集合点はタマゴの表面を移動したり、内部に動いたりする。
   このように新しいエネルギーフィールドを集合点を照らすとき、
   こうして知覚することを<見る>という。(15)
 7 集合点が移動して新たな客観性や事実性、問題解決を手に入れる。
   また想像不可能なものに向かいあったりもする
 8 意志は知覚の原因である。知覚が意識の原因というわけではない。
   意志が圧力をかけ、侵入する結果として、知覚が生じる。
 9 呪術師の目的はあらゆる知覚の可能性を体験するために
   目覚めた状態に達することであり、別の死の可能性さえ含む。

 意識の統御の教えの一部には集合点を移動させる二つの偉大な方法がある。
     夢見−夢をコントロールし、利用すること
     忍びより−ふるまいをコントロールすること
 である。

 ナワールが肩胛骨を押すことで、集合点は移動する。(16)
 高められた意識状態は、教えを理解するきわめて明晰な状態だが
 それを描写したり記憶する能力はうまく機能しない。

 カスタネダがこれまで呪術の修行について書いてきたことは、
 すべて<意識の統御>についてである。
 従って、<忍びよりの技>や<意志の統御>についてはまだ何も
 説明されてはいない。

 <忍びよりの技><意志の統御>についてはビセンテやシルヴィオ・マニュエル
 の助けを借りなければならなかった。しかし高められた意識状態の「複雑な事情」
 のなかでそれらは曇らされていた。(17)

 これらの教えはふつうに記憶したり想起したり「できるが」同時に「できない」。
 そこでこの矛盾を解消するために、ドン ファンがした過去の呪術師たちの
 物語を通して間接的に扱うという戦略をカスタネダは取った。

 ドン ファンはその物語を<抽象の核>として提示した。
 それは合理的な方法で何かを説明するというよりは、「精神を開かせる」ための
 ものだったとカスタネダは理解している。

 <抽象の核>は六つの抽象の核の組が三つある。この書はそのうちの最初の一組
 を扱っている。
  1 精霊(精神)の顕示
  2 精霊(精神)のノック
  3 精霊(精神)のトリック
  4 精霊(精神)の来訪
  5 意志の要求
  6 意志の操作
 である。

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第11巻での扱い

 時とともに戦士がシャーマニズムを学ぶということではない。むしろ時間とともに彼が学ぶのはエネルギーを蓄えるということだ。このエネルギーによって、通常ならば到達できないエネルギーフィールドのいくつかを扱えるようになる。我々が知っている日常世界では使用されていないエネルギーフィールドを使う能力、意識の状態である。

 この宇宙には測りがたい、記述しがたい力(force)がある。それをシャーマンたちは意図と呼ぶ。ある結合するリンクによって宇宙全体に存在する全てのものは絶対的にこの意図へ接している。戦士はこの結合するリンクについて話し、それを理解し、使用する。日常生活の通常の関心によって生じる催眠効果 numbing effect からこのリンクをきれいにすること、これが戦士の関わっていることである。このレベルでのシャーマニズムは意図への結合するリンクをきれいにする手続きとして定義される。

 シャーマンたちは生き生きと彼らの過去に関わる。しかしそれは個人的な過去ではない。シャーマンたちにとって彼らの過去とは、過ぎ去った日々他のシャーマンたちが達成したものである。彼らはそういう他のシャーマンたちの過去を調べる。それは参照点 a point of reference を得るためである。ただシャーマンだけが純粋に彼らの参照点を求める。彼らにとっては、参照点の確立は意図を調べる機会を意味するのである。

 

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