| 時の終わり−避けられない約束 |
私をドン ファンに引き合わせた男ビルはその後、会いにくるよう誘ってきた。彼はドン ファンの 見た とおり、やがて死ぬ。私は何度か会いに行こうとしたが、怠惰のためか他の理由のためにか、行くことはなかった。ビルの死を聞いた私はひどく悲しんだ。
「わしはおまえの友達を死が押し広げているのを 見た 。 ビルの裂け目はあまりに広く開いているのでドン ファンは自分の命もまた終わりに来ていると思ったが、そうではなく彼の系統 lineage が終わりに来たことがわかった。私はビルの死を知っていながら見過ごしたのだ、と言われた。そして十分に油断なくしている alert ことを怠ったとも言われた。私は反論したが、ドン ファンは油断なくしているとはどういうことかを説明した。
「油断がない alert とは用心深い watchful とは違う。呪術師にとって、 ドン ファンによればビルの旅は死に行く者の旅として彼の物語を終わらせるものだった。ビルは最後の旅であることを知りつつ、彼を助けてくれた人たちみなに感謝していた。その旅は彼の目だけのための旅だった。彼の目が飲み込むことができるもの以外の、表面的なことはすべて捨て去った旅だった。 しかし私がビルの死に感じた困惑はそのような話でどうにかなるものではなかった。ドン ファンは首を振った。そのようなインスタントな解消、癒し、結果を求めることはできない、と。
「呪術師たちは別なやり方でものごとに向かう。使える時間などないのだから しかもドン ファンはビルが死につつありながら私の行動を知りたがっていたことを次のように表現した。「たぶん彼にとって、おまえにとっても知られていないだろうが、おまえは彼の最後の思考 thought だったんだ。」 そう言われて私は倒れ込んでしまった。あたりは夕暮れ、落ちる太陽がその驚異的な金色の光を裸の山々に反射している。空には雲ひとつない。ソノラの砂漠はあまりに静かでその背後に世界が隠れているようだった。まるでその静けさが刃物のように私を骨の髄まで突き通した。ロサンジェルスに帰りたくなった私にドン ファンはこう言った。
「おまえは 無限 を味わっている。おまえの靴の 一体どうしたらいいのか、私は訊ねた。
「唯一できることは友達の記憶を新鮮にしておくことさ。残りの生涯を、 しかし悲しみの感情はカルロスが離れず、そうした思考はすぐに飛んでいってしまう。そのようなことは不可能なことだと。 だがここでドン ファンは悲しみとは何か、それを語り出す。
「呪術師にとって悲しみは個人的なことじゃない。それはまったく悲しみ ドン ファンの師のフリアンは、途方もない俳優だった。ドン ファンはこの師の話をやさしく言い換えている。 それは深い憂鬱に陥ったある男の話だった。あらゆる医者に行ったが、誰も治すことができなかった。そこで魂のヒーラー(癒す者)を訊ねた。ヒーラーは愛とともに治る、そう言った。だが男は自分は誰からも愛されているのでその点は問題ではないと答える。ヒーラーは旅行して別の世界を見てみろと言う。だが男は世界中旅したと言う。ヒーラーは絵とか車とか趣味に生きてみろという。だが男はそのようなものは全部試したが安心を得ることができないという。ヒーラーは救い難い嘘つきかも知れないと考える。しかし最後の洞察を持つ。
「ああ、わかった。貴方のために完全な解決法を思いつきましたよ。 |