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TOPIC 『声と現象』2 指標の還元
 
Subject なぜ時間?
Author イストラン [ 1799 to イストラン ]  1/27/Sat/2001   

 確かに私が私に意味を伝達する、などということは不要なことである。

 しかしこの章はあまりにも多くのことを考えさせる。

精神がなぜ能動的志向でなくてはならないのか。というような根本的疑問は置いておいても、一体<生ける現在>などという時間概念がどうして出てくるのか。

とどのつまりは、記号とは指標作用のことであり、それはある種の外化なのであり、だから<生ける>現在にとっては<死>なのである、とか。

その生ける現在にとっては己に固有の領域が現実であるのではなく、想像であって、ただ想像の中でのみ純粋に意味らしきものと結びつくのである、とか。

次の章では「目的のなさ」というのが登場するようである。それは極めて面白い問題になりそうだ。私性の核心部分で目的性が消失するということ、これは全く自然な見解であるような気がする。

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トピック= 1722 宛先= 1798 同宛先= 返信=
 
Subject 『声と現象』3/2 独語において意味が現前する
Author イストラン [ 1798 to イストラン ]  1/27/Sat/2001   

 フッサールにおいては、何事かを言わんとする意志の中に<表現性>が存在する。

 しかしそうした口頭的なもの、パロールの中にはそれでも莫大な量の非−表現的なものが残存している。

 そこで彼は伝達や告知に属するものを相変わらず指標作用という名称のもとに除外する。

この指標作用のもとに取り集められるものは、自然性、感覚性、経験性、連合などの諸価値であり、物質性というのも含まれる。それらにおいては生ける現在は現前しない。

 フッサールは表現のもともとの使命は伝達であることを認めるが、しかし表現が伝達を中断してこそ初めて表現の純粋な表現性が現れうる。

 伝達においては聞き手は話し手の意図を理解しなければならないが、しかし物質的側面という媒介を経ないわけにはいかない。精神性が十分に現前していない、これをもって指標作用として表現から区別するのである。

 私が他者に耳を傾けても、彼の体験は私に根源的に現前しているわけではない。他者の経験は他者に現前するようには私には現前しない。その他者の経験は伝達においてつねに物質的な記号によって間接的に指標されている。

 『デカルト的省察』では、<類推による代表象、間接的・潜勢的志向性の関係>と言われる。私にとっては或る存在が体験されても、伝達においては、それは想定されるだけである。相互理解は話し手聞き手の双方に、告知のうちに展開するある種の相関関係を要求するが、両者の全き一致を要求するのではない。

 告知 Kundgabe はそれが告げ知らせるものを告げると同時に隠してしまう。

 純粋な表現性は意味 Bedeutung が現前しているような発言を活性化する意味作用 bedeuten の純粋な能動的志向(精神、プシュケー、生、意志)である。そのさいその意味は自然の中で現前するのではない。ただ指標作用のみが自然と空間の中で行われるのだから、表現はまだそういう自然や空間の中に外出していない現在の生の自己への現前である。ゆえに、指標作用は記号のうちで働く死の過程である。

 他者への関係としての指標作用を還元し、純粋な表現生を獲得するには他者への関連を中断しなくてはならない。そこで<孤独な心的生における諸表現>というものが対立項として出てくる。

 内面的独語へ向かえば、そこには言語の物質的出来事が不在であるように見える。語を同一の語として認知させるものとは反復のイデア的可能性である。語の同一性はイデア的である。指標は現実存在するものであるが、語の同一性はその現実存在に何ものをも負わない。

 それでは私が私自身に話しかけるとき、私は何事も私自身に伝達しないのであろうか。

 その通りである。

 孤独な心的生においては、体験が話者によって話者自身に指標される必要がない。そこでは現実存在するのではない記号が、<所記>(意味)を Hinzeigen(指摘する)のである。もっと言えば、ここで記号という必要すらない。内面的現実存在については、記号作用が行われる必要がない、とフッサールは考えている。所記=意味は直接に自己へ現前する。それは生ける意識である。

 それゆえ、孤独な心的生の内面的独語においては、語は単に表象されるにすぎない。語は現実存在しない。それは想像界での語である。語の想像は必要とするが、想像された語は必要ではない。語の心象=イマージュは語ではない。想像とは現象学の活動領域である。このイマージュは志向的意味ないしノエマである。ノエマは意識の実的 reell ではない構成要素である。

 フッサールは『論理学研究』では超越論的な地帯ではなく、心理的な地帯で記述を進めているとはいえ、のちの『イデーン』第一巻での本質的な構成要素をすでに識別していた。その構造とはつまり現象的体験は現実には属さない、ということである。ヒュレー、モルフェー、ノエシスは意識に実的に属するが、ノエマ的内容、意味は、体験の実的ではない構成要素である。

 語の想像が現実存在しないばかりではなく、その内容もまた現実存在しないのである。

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トピック= 1722 宛先= 1722 同宛先= 1778 返信= 1799
 
Subject 『声と現象』3/1 非意志的な指標と意志的な表現/形而上学とは意志主義である
Author イストラン [ 1778 to イストラン ]  1/8/Sun/2001   

第三章 独語としての意義作用
 1 非意志的な指標と意志的な表現/形而上学とは意志主義である

 これまでは指標作用の特性とは何かということを究明することを主題にして、それが排除されるところで、しかし排除されないという構図を指摘してきた。
 たとえば第一章では
 1 指標的回付 Anzeigen
 2 表現的回付 Hinzeigen
 という区別に注目し、これらが区別されてはいるものの、同じ zeigen の部分に対してフッサールはなんら問題を提示しないことを見た。

 また第二章では
 1 指標的示唆 Hinweis
 2 表現的証明 Beweis
 という区別に注目し、やはりこの weisen(顕示作用)自体への問いがないことを見てきた。
 
 こうして指標としての記号の射程を求める探索は引き延ばされるのであるが(つまりフッサールが引き延ばしているとデリダは主張するが)、この章では<指標>と対立する<表現>そのものに与えられる規定を見ていく。

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 1 フッサールにおける表現とは、たえず二重の外出であった。まずイデア的対象への前−表現的な志向性があり、つづいてこの層を鏡に反映させる非生産的な層としての表現である。ここで表現とはいずれにしても現実という意味での外への現れを意味しない。この二重の外出は孤独な心的生の内部で動いている。そのとき外へ顕れる意味は、声において、現象学的な声においてしか自己うちにとどまることができない。

 2 表現とは、また意志的なものであり、ここには<精神性>という主観の志向性が欠かせない。表現的志向においてはあくまで内部にとどまる声を精神が活性化する。

 3 表現は、<意義作用=言わんとすること>によって活性化される。それは 意義 Bedeutung の解釈 deuten である。解釈はいつでも口頭的表現 Rede に対して行われる。それはいつでも読みとりではなく<聞き取り>である。

 ところでこの意志性は、第一、二章で追いかけた<指標>とは対立するのである。つまり、指標は<非意志的な連合>を保持していると見ることができる。<表現>は徹底的に意志によって活性化されなくては表現とは見なされない。

 フッサールにおいては志向的意識と意志的意識は同意語である。

 「受容的ないし直観的志向性および受動的発生といったテーマすべてにもかかわらず、志向性の概念はいぜんとして主意主義的形而上学の伝統に−−おそらく単に形而上学というものに、といってよいであろうが−−とらわれている、と。とすれば、超越論的現象学全体を支配している明白な目的論は、根底において、超越論的主意主義にほかならないことになる。」(68)

 意志、精神からはみ出すものは意義作用 bedeuten から、表現から排除される。可視的なもの、空間的なもの、表情、身振り、身体は精神的なものから働きかけられていない限り、表現から排除される。

 「可視性、空間性は<自己への現前>の、文字通り死である。」(69)

 確かに表情、身振り、非−意識的、非−意志的なものとて解釈することはできる。がしかしそういう解釈 Deutung は或る潜勢的な意義作用を「聞かせて=理解させて」くれるのである。

 「われわれが Sinn(意味) と Beteutung(意義作用) とを同一視する限り、解釈 Deutung に逆らうすべてのものは、いかなる意味ももたず、厳密な意味での言語ではない。言語の本質は言語のテロスであり、言語のテロスは意義作用としての意志的意識である。このような規定された表現性の外にとどまる指標的領野は、このテロスの挫折を明確に確定しているわけである。」(71)

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 ところで、このようにフッサールにおいて指標性は完全に表現から排除されるとデリダが見なしているのかというと、そうでもない。他者との関係のなかには、指標作用を完全に還元することを不可能にするものがある。そうデリダは指摘するが、その論拠は曖昧であるように見えるので、ここは保留にしておく。

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トピック= 1722 宛先= 1722 同宛先= 1798 返信=
 
Subject 『声と現象』2 指標の還元
Author イストラン [ 1722 new post ]  12/23/Sat/2000   


 形而上学への従属は、指標は表現の外にあるという考えの中に現れている。

 たとえ指標が表現と経験上はからまっていても、指標作用は<外的、経験的現象>として還元されなくてはならない。

 しかしそれはうまく行ったのだろうか。

 指標的記号とは、たとえば自然的には知的存在者を示す火星の運河であり、人工的には焼印とかであるが、自然、人工の別は関係ない。

 この記号的統一はある種の動機づけ Motivierung の統一として、思考する存在者に運動を与える。それは顕在的認識を非顕在的認識に結びつける。

 しかしこの結びつけの運動においてフッサールは、かならずしも経験的な連合のことだけを考えているのではなく、イデア的な連関をも考慮している。

 フッサールによれば、存立している諸事態の顕在的な認識が、或る他の諸事態の存立を<指標する>。

 一方の存在についての確信が他方の存在についての推定を惹き起こす動機として体験されるとき、この指標という作用が考えられている。

 しかしこれはきわめて一般的であって、そもそもフッサールが区別したい指標作用であるにはまだ一般的すぎるから、次には、狭義の指標作用を区別するために、動機づけの二つの様態として、

 1 指標的暗示(Hinweis)
 2 演繹的証明(Beweis)

 というふうに区別する。

 この理屈は、形式と内容の区別によってなされる。すなわち「必然的名称的なイデア的に客観的なものを思念する諸体系は、作用としては、偶然的経験的な非明証的な指標作用に属するが、イデア的諸対象の内容に関しては指標作用に属するのではない、というふうに。

 しかしながら、先に見た Hinzeigen と Anzeigen の曖昧な区別と同様の事態がここでも生じる。

 つまり、Hinweis (経験的なものに関する連合)と Beweis(イデア的なものに関する連合)と区別しても、同じ Weisen であることに変わりはない。そしてこの Weisen(顕示作用)一般とは何であろうか。

 そもそも、指標作用とはフッサールにおいて、<真理の外>に位置する。それは世界の中の経験的現実存在者を連結する連合に起源を持ち、事実性、非必然性、非明証性に関わる。

 だから現象学の形相的還元とか現象学的還元とか、還元問題は、この記号の二組(指標と表現)の隔たりにおいて進行する。

 ところでフッサールは経験と言語とを決して同一視しなかった。記号作用は超越論的生の<自己への現前>の外に押しとどめようと努力した。

 そういうことからしてみると、いわゆる<還元>は「それが方法となるまさにそれ以前に、話される言表の最も自然発生的な作用、つまりパロールの単なる実施、表現の能力と重なり合う」。

 しかしそうなると、この現象学の真理は二つの点でフッサールの意図に反することになる。

 フッサールは表現とか言語ではない意味層の存在を信じているから、還元自体が言語につきまとわれるという事態が彼の意図を裏切るであろう。

 また、言表と表現とは堅く結びついているにせよ、言表の総体は指標的な横糸にとらわれている。

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このおしまいの一ページはたんに結論を繰り返しただけで、根拠が述べられているという感じがしないので、よくわかりませんでした。

 原語で読みたいのですが訳しか持っていないので、このままにしておきます。

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